日本とピアノの出会い
日本は言うまでもなく、ピアノにおいて後進国だった。
地理的、歴史的に遠く離れているという問題もあるが、もともと西洋の楽器であるピアノを日本が製造するには欧米の音楽的伝統も同時に育てなければならなかったのである。
それは文化そのものを変えるようなもので、長い時間と忍耐が必要であることは簡単に想像できるだろう。
日本の最も初期のピアノメーカーはヤマハ以外知られていないが、例えば西川ピアノ、松本ピアノはヤマハと同じか、それよりも早くオルガンやピアノの製造に着手している。
おおよそ1900年前後のことだが、ヤマハを含め、彼らの多くはヨーロッパやアメリカに視察に行き、教えを乞い、帰国しては研究に没頭した。そのようにして、日本に日本製のピアノを定着させようとしたのである。