グレン・グールド

Glenn Gould【1932年9月25日~1982年10月4日】

Goldberg Variations (1981 Version)

グレン・グールドは1932年、カナダのトロントで生まれた。

10歳になるまでは母親からピアノの手ほどきを受けたが、1942年から10年間は、トロント音楽院で学んだ。

その間オルガン奏者としてデビューし、さらに翌年14歳でピアニストとしてもデビューする。

彼が本格的に活動し始めるのは1952年からである。

ピアニストとしての彼の地位を確固たるものにしたのは、1956年に発売されたゴールドベルク変奏曲である。これは彼の初めての録音作品であったが、多くの音楽関係者や愛好家の注目を浴び、1大センセーショナルを引き起こした。

この作品は、それまでにも多くのピアニストが録音してきた曲だったが、チェンバロなどの作曲された当時の楽器で演奏されることが多かった。

しかし彼はピアノで弾き、また速いテンポと彼の独特のノン・レガートに近い奏法で、それまでのどの演奏よりも生き生きと表現した。

グレン・グールド 坂本龍一セレクション

しかしグールドは1964年、26歳にして突然コンサートからの引退を表明し、多くのファンを当惑させる。

コンサートを引退した理由は、グレン・グールド孤独のアリアによると、グールドはコンサートにおいて2000人もの聴衆の前で、その緊張感を持続させることができないためで、それは彼の完全主義が関係しているという。確かに彼の徹底的に計算された演奏は、同じレベルを一発勝負のコンサートで行うのは難しかったのだろう。

彼のレパートリーは、バッハを中心にベートーヴェン、シェーンベルク、モーツァルトなどそれほど多くないのも彼の性格が関係しているのだろう。

しかし、作曲も行い、テレビに出演しピアノの講義も行うなど、コンサート以外の音楽活動は積極的に行った。また、ラジオ番組を企画するなど、その才能は多方面に向けられていた。

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最後にグレン・グールドを語る上で欠かせないのは、彼の奇妙な振る舞いである。

まず、演奏する際には父親に作ってもらった極端に低いいすに座り、演奏と同時に曲とは異なる旋律を歌った。この旋律は対位法に基づき即興で作っているとも言われている。CDを聞くと奇妙な唸り声が入っており、これは録音技師に注意されたにもかかわらず、グールドがハミングをやめなかったためである。
彼は人嫌いのように思われがちだが、寂しがりだったようで、車に乗って街に出て、街の人々を車の中から眺めるということもしていた。
また病気に対して神経質すぎるほどで、外に出るときは真夏でもコートと手袋、室内は極端な暖房をかけられていた。晩年、録音の関係者がグールドの自宅で打ち合わせをしていた際に、グールドから「冷蔵庫の中のものを食べてもいいよ」と言われ開けてみるとクラッカーなどしかなかったという話も残っている。

グレン・グールド 坂本龍一セレクション バッハ編

 

□グレン・グールド 略歴

1932年 カナダ・トロントで生まれる
1942年 トロント音楽院入学
1945年 オルガン奏者としてデビュー
1946年 ピアニストデビュー
1956年 「ゴールドベルク変奏曲」で1大センセーショナルを巻き起こす
1964年 コンサートから突然の引退
1982年 死去

□使用ピアノメーカー

□グレン・グールド DVD紹介


アート・オブ・ピアノ-20世紀の偉大なピアニストたち- [DVD]
映像で歴史的演奏を見ることができます。
スタインウェイをパデレフスキ、ホフマン、ホロヴィッツ、シフラ、ヘス、ルービンシュタイン、ギレリス、ミケランジェリ、グールドが弾いています。
また、プレイエルを弾き、授業をするコルトーやベーゼンドルファーをバックハウス、フィッシャーが弾いています。

ピアノメーカーは確認できませんでしたが、リヒテル、モイセイヴィチ、プランテも演奏を見せてくれます。

楽器を楽しむだけでなく、伝説の巨匠達を映像で見るチャンスはなかなかありませんので貴重なDVDです。
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□グレン・グールド CD紹介


バッハ:ゴールドベルク変奏曲(55年モノラル盤)
グールドの出世作にして一大センセーショナルを引き起こした録音。

生き生きとした躍動感あふれるバッハをぜひ聴いてみて下さい。

今聴いても全く時代を感じさせない新鮮さがあります。

バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1981年録音)
グールドのキャリアが上のゴールドベルクから始まり、このゴールドベルクで終わったのは運命のようなものを感じます。

55年盤にくらべてテンポは遅くなりましたが、だからといって悪くない。

グールドの到達した境地。

グールド・ザルツブルク・リサイタル1959
1955年にデビューし、64年にはコンサートからの引退を発表したグールドの貴重なライブ盤。

曲目はゴールドベルクなど55年盤とかぶるところはありますが、グールドファンとしてはぜひ聴いておきたい。

ライヴ・イン・レニングラード1957
これも貴重なライブ音源。

音質はモノラルなのでやはり現在と比べると…。

しかし、ベートーヴェンやバッハの協奏曲が聴けるのはやはり捨てがたい。

Plays Bach
日本盤ではないため曲目などが分かりづらく、アマゾンのレビューから抜粋させていただきます。

「1956年から1980年に発売された12枚のLPレコードをCD化し、12枚のCDそれぞれを発売当時のレコード・ジャケットのデザインを模した厚紙のミニ・ジャケットに入れ、モノクロ写真と英語、ドイツ語、フランス語による解説からなる70ページほどのブックレットと一緒に箱に収めたもの。」

1枚ずつ買うよりも早いですし、レコードのジャケットを模したというのがいいですね。

Glenn Gould - The Complete Original Jacket Collection
グールド全集です。

全80枚、もっと早く気がつけば買っていたのですが…、値段が高騰していますね。しかし、それでも80枚のCDを買うならこちらのほうがお得なのか!?

モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
グールドのモーツァルト。

特にトルコ行進曲のテンポの天国的遅さで有名ですが、それ以外にも聴きどころはたくさんあります。

バッハに比べると賛否両論あるかと思いますが一度聴いてみる価値はあります。

□グレン・グールド 書籍紹介


グレン・グールドは語る (ちくま学芸文庫)
グールドのインタビュー本です。

グールドについては奇人や変人といったイメージがありますが、実際の人となりは聞いてみないとわかりません。

その意味で貴重なインタビューと言えるかも。

グレン・グールド シークレット・ライフ
東京ではグールドのドキュメンタリー映画があったそうで、見に行けず悔しい思いをしていました。

おそらく(まだ読んでないんで)これが脚本というか元となった本ですね。

グールドの周囲の人へのインタビューを通してグールドを知ろう、というコンセプトで、特にグールドの女性関係にも触れた初めての本です。

グレン・グールドのピアノ
グールドとピアノについてのノンフィクション。

グールドが求める理想のピアノと、調律師などの関係者との織り成す人間模様が描かれています。

ピアノにもグールドにも興味のある人には特にオススメの1冊。

グレン・グールド ア・ライフ・イン・ピクチャーズ
グールドの没後20年、生誕70年を記念して作られた写真集。

グールドは映像方面でもかなり活躍したせいか、それとも単にハンサムだからか、残されている写真はどれも素晴らしいのでこれもぜひ欲しいです。Glenn Gould: A Life in Pictures←海外からの発送となりそうですが値段的にはこちらも安くていいかもです。

巨匠(マエストロ)たちのラストコンサート (文春新書)
クラシックの巨匠たちの最後のときに迫ったドキュメンタリー風の本です。

ピアニストはグールドとリパッティしか入っていませんが、トスカニーニやバーンスタイン、ロストロポーヴィチなどのそうそうたるメンバーが収録されています。

音楽に人生を捧げたマエストロたちが最後のコンサートを迎える時はこちらもグッときてしまいます。

ちなみにグールドについては様々な資料が提示され、推察されるのですが、新たな発見がありました。

二十世紀の10大ピアニスト<br>ラフマニノフ/コルトー/シュナーベル/バックハウス/ルービンシュタイン<br>アラウ/ホロヴィッツ/ショスタコーヴィチ/リヒテル/グールド (幻冬舎新書)
ラフマニノフ/コルトー/シュナーベル/バックハウス/ルービンシュタイン
アラウ/ホロヴィッツ/ショスタコーヴィチ/リヒテル/グールド (幻冬舎新書)

10人の巨匠ピアニストたちの群像劇。

CDを聴いてちょっと気になるピアニストのことを知るにはちょうどいいかもしれません。
続いて聴いてみたいピアニストが出てくるかも。