●Vladimir Horowitz【1903年10月1日~1989年11月5日】
20世紀のヴィルトゥオーゾ、ピアニストの象徴であるホロヴィッツは、ピアノ曲を聴く以上、避けては通れない名前である。
ホロヴィッツは1903年ウクライナで生まれた。
彼の家は音楽一家で、母親にピアノを習った後、9歳でキエフ音楽院に進む。そして1919年に、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を演奏して同音楽院を卒業した。
本当は作曲家として名を残したかったが、経済的に許されず、コンサートピアニストの道を選択し、1926年にはベルリンで初の国外演奏を行う。
その後1940年からアメリカに移住し、4年後にはアメリカでの市民権を得た。
若い頃のホロヴィッツは、演奏会でもその技巧を余すところなく発揮し、聴衆はいつも大満足だった。
ところが、ピアニストとして全盛を誇った時、痛ましい事件がおきた。娘の自殺未遂である。ホロヴィッツはこの事件にたいそう胸を痛め、以後12年の間コンサートから遠ざかった。
そして1965年、待ちに待った超満員の観衆の前で復活コンサートを成功させ、彼は再びクラシックの世界へと戻ってきた。
しかし、晩年のホロヴィッツは、技術の衰えからか、酷評されるリサイタルも多くなっていった。
初の日本コンサートでは「ひびの入った骨董品」と評されるほどだった。(2度目の来日コンサートでは、ホロヴィッツ本来の美しく、技巧豊かな演奏が披露されたそうである)
ホロヴィッツの演奏は、1800年代、F.リストが活躍した時代の技巧を前面に押し出し、華麗でドラマチックな演奏のヴィルトゥオーゾスタイルであり、その圧倒的な技巧と奥行きのある演奏で、「鍵盤の魔術師」の異名をとった。
レパートリーは広く、ロマン派を中心にロシア音楽やクレメンティなどの古典も含まれる。また、「カルメンの主題による変奏曲」「死の舞踏」「結婚行進曲による変奏曲」「星条旗よ永遠なれ」など、自ら編曲した作品も定評がある。
とても神経質でな性格で、ある時は自分のコンサートにお客さんが来てくれるかこっそり見に行ったり(行列が出来ていてホッとしたそうだ。)、またある時は自分の指がガラスで出来ていて砕けてしまうんじゃないかと心配したりしたという。特にコンサート当日は彼の妻は大変だったと述懐している。
しかし、ホロヴィッツは単に神経質なだけではなく、同時に観客を喜ばせようとするショウマンシップにも溢れたピアニストだった。
趣味は蝶ネクタイ集めで日本に来日したときも蝶ネクタイを持参していた。
□ヴラディミール・ホロヴィッツ 略歴
1903年 ウクライナで生まれる
1912年 キエフ音楽院に入学
1920年 初のコンサート
1926年 国外デビュー
1940年 アメリカ移住
1953年 娘の自殺未遂を期に12年間休業
1965年 復活コンサートで大成功をおさめる
1983年 初来日
1986年 2度目の来日
1989年 死去
□使用ピアノメーカー
□ウラディミール・ホロヴィッツ DVD紹介
Vladimir Horowitz: The Video Collection [DVD] [Import] 類稀なるヴィルトウォーゾ、20世紀最大のピアニスト、ウラディミール・ホロヴィッツ(1904-1989)の1982年から1987年にかけてのさまざまな演奏を収録した6巻の映像作品を一つまとめたボックス・セットがソニー・クラシカルから登場します。これまで複数のレーベルから発売されていた6種類の映像が一つにまとめられたのは今回が初めてで、その晩年のいわば最円熟期の演奏をたっぷりと味わうことが出来ます。ニューヨークの自宅、モスクワ、ウィーン、ミラノなどさまざまな会場での演奏シーンのみならず、本人やワンダ夫人へのインタビュー、リハーサル・シーンなども交えて制作されたこれらの映像は、この世紀の名ピアニストの本質を探る上で欠かせない貴重なドキュメントといえましょう。(Amazon紹介文より) 6枚組でこのお値段でたまりません。ファンなら絶対見るべき!! | |
アート・オブ・ピアノ-20世紀の偉大なピアニストたち- [DVD] 映像で歴史的演奏を見ることができます。スタインウェイをパデレフスキ、ホフマン、ホロヴィッツ、シフラ、ヘス、ルービンシュタイン、ギレリス、ミケランジェリ、グールドが弾いています。 また、プレイエルを弾き、授業をするコルトーやベーゼンドルファーをバックハウス、フィッシャーが弾いています。 ピアノメーカーは確認できませんでしたが、リヒテル、モイセイヴィチ、プランテも演奏を見せてくれます。 | |
Horowitz in Moscow [DVD] [Import] ホロヴィッツのモスクワ凱旋コンサートの映像です。 ホロヴィッツは亡命しましたが、祖国ソ連でのコンサートには感慨深かったようで、演奏は気持ちの入った素晴らしいものです。 |
□ウラディミール・ホロヴィッツ CD紹介
モスクワ・ライヴ1986 ホロヴィッツが母国ソビエトのモスクワ音楽院で1986年に行なったリサイタルの録音です。ホロヴィッツにとっても亡命はしたものの生まれ育った母国での演奏には気持ちがこもったのか、素晴らしいヴィルトゥオジティを発揮し、晩年にして最高の演奏を聴かせてくれる。 聴衆の熱狂ぶりにホロヴィッツも大満足だったようだ。 | |
1965年 カーネギー・ホール ザ・ヒストリック・コンサート(アニヴァーサリー・エディション) 娘の自殺未遂などから、活動を休止したホロヴィッツが12年ぶりに復帰を遂げた1965年のカーネギーホールの歴史的演奏。 復帰については本人も悩み、聴衆も期待と不安をもって迎えたこのコンサートでの成功によって再びホロヴィッツは表舞台に舞い戻りました。 特典DVDもファンにとっては貴重なものです。 | |
1966年 カーネギー・ホール・コンサート 65年のライブ盤は歴史的な価値はありますが、演奏としてはホロヴィッツも最高の状態ではなかったといわれています。 それに対しこの66年の録音はホロヴィッツのポテンシャルを遺憾なく発揮した素晴らしい録音です。 特にリストの「オーベルマンの谷」は圧巻です。 | |
アンコール ホロヴィッツのアンコール曲を集めたCD。 ただただホロヴィッツの技巧に酔いしれたい時に聴きたい1枚です。 腕が本当に2本なのか疑いたくなる演奏ばかりです。 | |
Vladimir Horowitz -Complete Original Jacket Collection 昔音大出のピアノの先生が「『学生時代教授からホロヴィッツはあまり聴き過ぎるな、必ず影響されるから。』と言われた。」とおっしゃっていましたが、それほど魅力のある演奏なんですね。 ハマったら全集を買わずにはいられません(笑) | |
チャイコフスキー : ピアノ協奏曲第1番 / ブラームス : ピアノ協奏曲第2番 義父でもあるトスカニーニとの共演。この演奏は凄まじいの一言に尽きる。 二人のデッドヒートは何度聴いてもハラハラさせられるほど!! クラシックなんて静かでお上品と思ってる人はきっと世界が変わります。 |
□ウラディミール・ホロヴィッツ 書籍紹介
二十世紀の10大ピアニスト<br>ラフマニノフ/コルトー/シュナーベル/バックハウス/ルービンシュタイン<br>アラウ/ホロヴィッツ/ショスタコーヴィチ/リヒテル/グールド (幻冬舎新書) ラフマニノフ/コルトー/シュナーベル/バックハウス/ルービンシュタイン アラウ/ホロヴィッツ/ショスタコーヴィチ/リヒテル/グールド (幻冬舎新書) 10人の巨匠ピアニストたちの群像劇。CDを聴いてちょっと気になるピアニストのことを知るにはちょうどいいかもしれません。続いて聴いてみたいピアニストが出てくるかも。 |